性同一性障害による戸籍(名前、性別)の変更 

【 結びにかえて 】

W 結びにかえて

 我が国における性同一性障害者の現状や諸外国における性別変更に関する法的な取扱いに鑑みて、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」第3条に定められている要件のうち、「二 現に婚姻をしていないこと。」、「三 現に未成年の子がいないこと。(平成20年6月18日法律第70号により従前の規定「現に子がいないこと。」から改正される。)」という項目の削除、要件の緩和など何らかの方策を講じる必要があると思います。

 そのためには、婚姻とは何か、夫婦とは何か、家族とは何かという人生の根幹に関わる問題をあらためて問い直す必要があり、憲法第24条に定められている 「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立・・・」 という条文の弾力的な解釈と運用、さらには条文自体の改正 「婚姻は、両人の合意のみに基いて成立・・・」 をも念頭においた取り組みも今後は必要となってくると思います。

また、現在の戸籍法には戦前における家制度の名残として子供の続柄(長男、長女、二男、二女・・・等)を記載する欄が設けられていますが、この部分の記載について例えば出生した順番(第1子、第2子・・・)と性別(男、女)とに分けるようにすれば、もし子供が性同一性障害であり将来的に性別を変更する場合にも戸籍を分けて新戸籍を作らなくても、性別の記載を修正するだけでよく、現行のように分けた戸籍を突き合わせると同じ続柄の記載を有する人が二人いるという不都合も起こりません。

これらの事柄については社会的なコンセンサスを得ながら法律改正などにより緩和されていくことを期待したいと思いますが、そのためにも社会に対する地道な活動を今後も粘り強く継続していくことが何よりも大切であると思います。

 性同一性障害のために今まで悩み苦しんできた日々を無駄にすることなく、その経験を後生の人たちへの今後の指針として何らかの形で残し伝えてもらいたいと思います。
 また、これからの人生の質を向上させるための弛まぬ努力を続けて、人生を今まで以上に価値あるものにしていって下さい。時に苦しみ、嘆き、悲しみ。涙する時もあると思いますが、決して未来に希望を失わずに生き抜いていって下さい。

 最後に、皆様に杏の花言葉 『不屈の精神』 を贈りたいと思います。


目次に戻る
inserted by FC2 system